STORY

「未来への贈り物」を撮るために、僕は最後まであきらめない

フォトグラファーとしてフレッシュな印象の赤嵜真也さん。若さあふれ、はつらつとした雰囲気がありながらも、誠実に仕事に向き合う姿は周囲からの評価も高い。彼のこだわりは最後の一枚をあきらめないこと。彼にとって「写真」の魅力とは……。赤嵜さんに、フォトグラファーにかける想いを聞いた。

旅人だった僕が出会った美しい景色

Qカメラとの出会いについて教えてください。

大学生の頃、旅行が趣味になって、旅先の景色を残しておきたいなと思ったことがきっかけです。

イタリアやスイスなど、いわゆる絶景を見られる場所に行ったとき、旅人がカメラを構えている姿が目に入ってきて。こういう旅もいいなと思いました。

10年ほど前のことで、スマホも普及していたので簡単に写真を残せる時代になっていましたが、旅先で見る景色はスマホで撮るにはもったいないくらいの絶景で。カメラを持っていきたい!!と思うようになりました。

Q赤嵜さんの身近な人にカメラを持っている人はいたのでしょうか??

仲の良い友人が一眼レフカメラを持っていたので、面白そうだなと思っていました。はじめは真似して撮るような感じで、友人にも教えてもらいながら撮影スキルを身につけていきました。

とはいえ、僕は小学校から高校まで野球少年。スポーツには興味があったんですが、これといって趣味もなかったので、友人と共通の趣味を持てたというのも大きかったと思います。共通の話で盛り上がれますし、カメラが楽しいと思うようになっていきました。

Qお友達と共通の趣味もあって、楽しい時間になりますね。ご友人との思い出で印象に残っていることはありますか??

友人が世界一周旅をしていたので、僕も大学の冬休みを活用して旅に合流したことがありました。どこで集合だと思います?? 南米のボリビア西部にあるウユニ塩湖です(笑)

カメラを持ち始めた頃だったと思います。ウユニ塩湖はアンデス山脈に囲まれた広大な塩湖です。「天空の鏡」と呼ばれるほど、湖面に映し出される空の様子が美しくて、その奇跡的かつ幻想的な絶景をこの目で見たくて足を運びました。

僕らに与えられた時間は3日間。絶景と呼ばれる写真が撮れる条件が揃うまで待つことにしました。

Q絶景を撮るぞ! という気合ですね。どんな条件を待ったんでしょうか??

雨が降った後、風が強いと水面が揺れてうまく反射してくれません。雨上がりの風がない時間で、かつ、晴れていて雲がある状態がベストなんです。時間の限り待ち続けて、3日目の最終日にようやく一番いい写真が撮れたというのが良い思い出です。

大人になると、こんなに時間を使って撮影するなんてできませんから! 自分たちの時間を撮影のためだけに目一杯使うことができるなんて、贅沢な時間だったと思います。

「好き」を仕事にしてみたい、僕の想いは揺るがなかった

Q大学卒業後にフォトグラファーとして働き始めたのでしょうか?

大学卒業後は、専門商社の営業をしていました。学生時代は理系の勉強をしていたので、研究室の実験機材にお世話になることも多くて。就職するなら、自分の知識が活かせる仕事に就きたいなと思って、実験施設などで必要な機材を扱う会社に就職しました。

恵まれた環境でお仕事できていたと思いますが、3年くらい勤めた頃に、「知識が活かせること」ではなく、「好きなこと」を仕事にしてみたらどうだろう? と思うようになったんです。そこで思いついたのが「カメラ」。未経験でも経験が積めるということで、ウェディング撮影の会社にフォトグラファーとして転職しました。

Q急な転職でご家族から反対されませんでした??

当時は結婚もしていませんでしたし、両親にも相談しませんでした。全て事後報告です。おそらく……最初はフォトグラファーをやっているのも知らなかったと思います(笑)

仮に相談したとしても、僕の考えが揺るがないことはわかっていましたし、子どもの頃から、僕のやりたいことを尊重してくれる両親なので、反論がないことも分かっていました。

Qすてきな家族関係ですね。フォトグラファーに転職してみてどうでしたか??

新しい世界というのはわくわくするものです。楽しい!! と感じていました。

ところが、転職して半年経って、いよいよ本格的にフォトグラファーとしてデビューというタイミングで新型コロナウイルスが流行し始めました。ほとんどの結婚式が延期やキャンセルになってしまって……。提携している結婚式場の撮影をする会社だったので、「結婚式がない=仕事がない」という状況に不安を抱える日々が続きました。

このままウエディングの撮影だけにこだわってしまうと、仕事が戻ってくる確証はないなと危機感を感じたので、他の分野の撮影にも興味を持つようになりました。

Qいよいよ独り立ちというタイミングでの新型コロナ流行…それは大変な時期を過ごされましたね。

それでも前向きにやるしかありませんから、独立を決心して他の分野の撮影にも挑戦できるようにしました。

自分なりに求人を探してみる中で、「スクールフォト」という分野を知ったんです。子どもは好きですし、ウエディングの撮影でもお子さんを撮ることもあったので、かわいい子どもたちの撮影に携われるならやってみたいなと思いました。

ポイントは「広い視野」、臨機応変に子どもたちの動きに対応していく

Qそれでリンクエイジと繋がるわけですね!! スクールフォトの現場はどうですか??

とても楽しいですよ!! 僕はフォトグラファーとしての歴も浅かったですし、スクールフォトも初めてだったので不安もありましたが、リンクエイジは研修をしっかりとしてくれるので、安心して現場に臨むことができました。

特にフィードバックが丁寧なんです。実際に写真を見てもらって、この撮り方いいね! とか、次はこうとってみよう! とか、具体的なコメントをいただけるので、現場での撮影に活かしやすいなと思います。

Qスクールフォトの撮影現場で大事にしていることはありますか??

現場の「空気感」を大切にしたいと思っているので、距離感に気をつけています。こちらのペースでグイグイ距離を詰めるのではなく、その場の空気を読むというのが大事なのかなと思います。

いい意味で存在感を消して、その場に馴染むということです。見方によっては、個性のないフォトグラファーかもしれませんが、それでいいと思っています。フォトグラファーが空気感に馴染んでいれば、子どもたちの自然体が撮れると思います。

Qウエディングや他の分野と比べてスクールフォトが難しいなと感じるポイントはありますか??

子どもたちの突発的な動きや予想外の動きを撮るのは難しいなと思います。

ウエディングにも突発的なことはありますが、新郎新婦が急に走り出してしまうなんてことはありませんから(笑) それに比べて子どもたちは、動きや感情の変化も急なことが多くて、瞬間的に状況が変わってしまいます。そういった瞬間の判断というのはスクールフォトの難しいポイントかもしれないですね。

Q瞬間の判断をするために工夫されていることはありますか??

「視野を広く」ということを意識しています。教室の全体、子どもたちみんなに目を配るということです。

これはウエディングでの撮影経験が活きていると思います。結婚式は新郎新婦が主役ですが、撮影しなければいけないのは本人たちだけではありません。ご両親やご友人、さまざまなタイミングで感動的なシーンが生まれます。「新婦のお父さんが涙を流しそうだ」という瞬間があれば、そこを写しにいきます。経験が少ないと新郎新婦ばかりに目が行きがちですが、キョロキョロと周りを見ることで俯瞰的にシーンを見られるようになりました。

Qとはいえ「視野を広く」ってなかなか難しいですよね。

子どもの頃から続けてきた野球ですが、僕のポジションはセカンド。守備範囲が広くて、広い視野が求められます。また、打球への的確な判断力だけでなく、内野手や外野手と連携しながらプレーする能力も必要です。

案外、そういった能力が撮影現場でも活かされているのかもしれないです!!

未来に贈る大切な一枚、妥協なんてしたくない

Qいろいろな経験が活きていますね!! スクールフォトの魅力を教えてください。

保護者のみなさんに喜んでもらえるとうれしいです。

お友だち同士で無邪気に遊んでいたり、目の前のことに一生懸命になっていたり、家庭では撮れないような自然体の子どもたちが撮れると、いい写真が撮れたなと思います。保護者の声は直接聞けるわけではありませんが、リンクエイジから「こんな声いただきましたよ〜」とコメントをいただけると、とても励みになります。

何より、写真が子どもたちの未来にも残ってくれて、将来「いい思い出」として思い出されるきっかけになれば、最高だなと思うので、これからも一枚一枚を大事に撮ってあげたいなと思っています。

Q一枚一枚を大切に撮っていくということですね。

妥協しようと思えばいくらでも妥協できる仕事だと思うんです。でも、僕は妥協したくありません。だって、写真は未来に向けた贈り物ですから。

人間の記憶は、だんだんと薄れていきます。ところが、写真ってすごいもので、一枚でも写真が残っていれば、蘇ってくる思い出もたくさんあります。残すことに価値があるのだと信じています。

だからこそ、もう一枚、さらにもう一枚……諦めずに撮り続けたら今より良いシーンを撮れるんじゃないかと思うんです。

未来に思い出を残すなんて大役。最低限やればいいのではなくて、最大限やってみる。これが大事だと思います。

Qリンクエイジには「すべての愛を力に変える」というミッションがありますが、赤嵜さんにとって愛とはなんでしょうか。

愛は「思いやり」だと思います。相手のことを思ってどれだけ行動できるか。そこが大事になってくるのではないでしょうか。

撮影も同じです。例えば、ウエディングだったら、新郎新婦にとって人生に一度しかない晴れ舞台です。この人たちのために、喜んでもらえる写真を撮りたいと思うことは、僕の思いやり。一つの愛です。スクールフォトも同じです。これからも「未来への贈り物」を一枚一枚大事に撮っていきたいです。

Q赤嵜さんがこれから挑戦したいことを教えてください!

スクールフォトだけでなく、多岐にわたる撮影経験を積むことで、フォトグラファーとして成長していきたいです。

プライベートでは、大好きな旅行に出かけたいです! フリーランスになったことで、自分の時間を作りやすくなったので、いろんなところに出かけて絶景を撮りたいです!!

今のリフレッシュといえば、もっぱら寝ること、食べることになっていますが、プライベートでカメラを触る機会も増やしながら、息抜きもしていきたいなと思います。

ファインダーの向こう側に広がる奇跡の瞬間を撮るために彼は妥協しない。

彼は妥協しない。
「今日」というかけがえのない1日、いつかその思い出が色鮮やかに蘇るよう、たくさんの彩りを残していく。

この一枚が……未来に届くと信じて。

Interviewee by Shinya Akasaki
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Interview, Text by Miya Ando
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Photo by Satoshi Nakajima

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