幼稚園・保育園・認定こども園・小学校他における写真や映像の撮影・販売を行うリンクエイジ株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:藤田 俊)は自社で運営する『memoridge(メモリッジ)』にて「学校写真において、家族がほしい写真と、園が保護者に届けたい写真のギャップ」について調査を行いましたので、その結果をお知らせします。
弊社は、2022年4月、【調査レポート】学校写真において家族がほしい写真はどんな写真?というテーマで、保護者のニーズに焦点を当てた調査を実施しました。
本調査では、それを受け「家族がほしい写真と園が届けたい写真とのギャップ」また「そのギャップを埋めるための方法」に焦点を当て、『memoridge』の会員様にアンケートを実施しました。
さらに、そのニーズに沿った写真を撮影するため、当社フォトグラファーへアンケート結果を共有しました。
本調査は、幼稚園・保育園・認定こども園に通われているお子様の保護者の方々を対象に14項目からなるアンケートを実施するもので、計1,935名から回答を得ました。
弊社の考察も交え、調査内容をレポートいたします。
第4回 memoridge(メモリッジ)お客様アンケート
前回(2022年8月~11月実施)と同様、記憶や感動の新しいうちにタイムリーに写真を届ける重要性が分かる結果となった。
選択肢1の「早く写真を見たい」という回答が、前回のアンケート結果より0.7%増加したことから、よりリアルタイムに写真を見たいというニーズが増加していることが分かる。
また、前回の考察でも記載したとおり、『人間は忘れていく生き物』であり、時が経つほど、熱量は下がっていくものだ。
撮影した活動や行事をよりリアルタイムで保護者に伝えることは、園と保護者双方にとって重要なポイントであると再確認された。
また、選択肢4の「登録だけしておき、掲載開始のリマインダーが届くようにしたい」が1.3%減少していることも注目すべき変化である。
保護者がメモリッジに登録する際の主な目的やモチベーションは、「写真を見たい」ということであり、単なる手続き的な登録は減少していると読み取れる。
写真管理方法にアナログ活用の割合が高い点が、前回と同様に印象的である。
選択肢1「アルバムやケースなので保管・整理」が前回比+5.6%、選択肢2「フォトフレームやコルクボードなどに飾っている」が+0.2%それぞれ増加した結果となった。
スマートフォンやクラウドサービスでの写真の閲覧、管理が一般化している中でも、紙焼き写真を手に取る習慣や文化が依然として残っていることが分かる。
一方で、選択肢4「お子様やご家族とのコミュニケーションに活用」という割合が前回より3.8%減少した。
この減少の理由として、感染症対策の緩和により、保護者が園で子どもの様子を直接見る機会が増えたことが考えられる。
また、保育参観や保護者参加型の行事が2023年度以降コロナ前と同様に行われるようになり、写真以外から得られる情報を元に子どもや家族とのコミュニケーションが広がっている可能性も示唆される。
それは非常に喜ばしいことだ。
まず、保護者が考える「購入したいと思う写真」について振り返る。
後ほど詳しく紹介するが、子どもが遊びに夢中になっていたり、友だちと遊んでいたりする自然な写真をよく購入するという割合は7割を超える。
さらに、遊びの内容や先生や友だちとのかかわりが分かるような写真を購入する割合は全体の9割近くに達する。
つまり、子ども自身にフォーカスしつつ、周囲とのかかわりや遊びの内容も分かる写真が大多数の保護者の「購入したいと思える写真」に合致すると言える。
それを踏まえ、今回「購入したいと思える写真がない」と感じる保護者が全体の42%いるということは、まだまだ弊社のフォトグラファー教育に課題がある結果であると言わざるを得ない。
また、ニーズの多様化が加速していることも要因のひとつと考えられる。
2021年実施のアンケートでは「一人で写っている写真を購入したいと感じる」が21.2%だったのに対し、2023年の結果は29.6%と前回より8.5%増加した。
さらに、大人数での写真(5人以上の写真)が11%から6.4%と減少している。
より我が子にフォーカスした写真を求めている傾向が見えてきた。少子化の影響もあいまってか、子どもひとりの写真を重視する保護者が増えてきており、複数人よりも個別の写真を求める傾向が強まっていることが分かる。
「集団生活ならではの人とのかかわりが分かる写真も欲しいが、子どもが一人で写っている写真も欲しい」というのは、一見すると矛盾しているように感じるかもしれない。
しかし、幼児期が個人から集団生活の過渡期であり、初めての集団生活に送りだした保護者の心情を察すると至極当然なニーズであり、重要なのはフォトグラファーの場面の切り取り方とバランスであると言える。
上記3つの質問に対する回答は過去3回と同様の結果となった。
ひとりでカメラ目線で写っている写真よりは、園だからこそ見える姿、友達や先生とのかかわり、日常の様子を見たい。知りたい。というニーズが高いことが分かる。
今回のアンケートでは1935件の回答を獲得し、過去3回と比べるとより多くの保護者の声を反映した結果となった。
これまでもアンケート結果が出る度に、弊社ではボトルネックはどこなのか見極め、改善や挑戦を行っている。
例えば、最初に記載した入園式や運動会などの行事の写真を早期に掲載する取り組みや、フォトグラファーの教育制度の見直しもその一例である。
そして、今回のアンケートの質問に新たに追加して弊社が向き合うべき課題がある。
それが「写真を閲覧しても購入しない理由」だ。
すぐに改善し、保護者が求める写真を届けるように努める必要があるが、事はそう簡単ではない。
それは、保護者が求めている写真と、園が伝えたい写真の間に常に乖離があり、その溝を埋めるためには保護者の理解と想像力が求められるからである。
保護者が見たいと思っている写真の中には、誤解を招きかねないものがある可能性がある。
例えばメインには笑顔の子どもが写っているが、背景に泣いている子が写っていた場合だ。
メインで写っている子の保護者はその写真を欲しいと感じるだろうが、後ろで泣いている子の保護者は同じ写真を見てどう感じるのだろうか。
「先生は見てくれているのか」「園が楽しくないのだろうか」など不安を抱える人もいるかもしれない。
私たち大人もそうであるように、一日中朝から晩まで笑顔で過ごす子はほぼいない。
時には葛藤したり、友達とのかかわりで思うようにならず涙を流す時があったりする。
保育者はそれを把握し、適切なタイミングで声掛けやかかわりを持つのだが、写真1枚ではその流れや配慮を伺い知ることは難しい。
それを園側は理解しているがゆえに様々な懸念を抱く。
「泣いている子の保護者が不安に感じるのではないか」「保育者がちゃんとかかわっていないと思われるのではないか」といった心配だ。
それが「この写真は掲載しないで欲しい」といった弊社への削除依頼につながることは少なくない。
弊社は園から依頼を受け写真掲載業務を行う業者のため、園から削除依頼が来たら削除せざるを得ない。
すると、メインで笑顔で写っていた子の写真は保護者に届くことなく削除の箱に行きつくのだ。
こういったケースは一部の団体様と弊社の中で発生する。
協議の上「保護者に誤解を与える可能性があるから」「不安に感じるだろうから」といった理由で掲載せずに削除している写真もある。
写真は一瞬を切り取るツールであり、前後の脈絡や長期にわたる保育者の配慮は想像することしかできない。
受け手の想像力によって、同じ写真でも様々な解釈がなされる。
実際の出来事とは全く異なる解釈もあるかもしれない。
弊社はそこに対してできる限りストーリーが伝わるような写真撮影を心がけているが、そこにも限界がある。
撮影した写真はできる限り保護者に届けたい。
ただ、園の意向や要望にそぐわない写真は掲載したくない。
ここの課題を解決するには慎重な対応が求められる。
”写真だからこそ伝えられる一瞬”を大切にし、より良いサービスを提供できるよう努めていきたい。
リンクエイジ株式会社
マーケティング企画部2課 マネージャー
古澤真生
【略歴】
2012年保育短大卒業後、大学付属幼稚園で6年間クラス担任として勤務。
うち3年間は学年主任として学年運営から園便りや年誌の制作など園全体の業務に携わる。
2018年に退職後、バンクーバーへワーキングホリデーを利用し渡航。
2019年に現地のスターバックスで就労ビザを取得したが、コロナの影響で帰国。
その後2020年12月からリンクエイジ株式会社で営業として既存団体のサポート業務をメインに勤務。
現在に至る。
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【調査元】
リンクエイジ株式会社